昨今、副業を認める方向で国全体が動いているようですが、副業って本当に良いものでしょうか??
個人の主観、考え方の相違などあると思いますので、「私は、こう思います」というだけです。皆様違った立場、主張があり、それぞれの考え方が正しいとは思います。
以下の記事が目に止まりました。
サラリーマンの給与、月額平均は28万円、手取りにすると24万円だそうです。
24万あればそこそこ生活出来るし、貯金も数万出来るのでは??
30歳前後の独身男性と仮定して、家賃8万円、通信費2万円、光熱費2万円、食費4万円、趣味/交際費3万円、とするとざっと5万円ほど浮く計算でしょうか。(それぞれの費用はざっと思いつきで書いていますが。)
この浮いた5万円を毎月貯金したとして、
- 結婚費用300万円=60ヶ月(5年)
- 車購入400万円=80ヶ月(6年8ヶ月)
- 子供1人1000万円=200ヶ月(16年8ヶ月)
- 住宅購入3000万円=600ヶ月(50年)
…あれれ????上記4項目だけで80年弱あります。
結婚したら2馬力では?!とか年齢上がると収入増えるのでは!?という話もありますが、その分支出も増えますし、そこざっくりプラマイゼロとして、更に年功序列制度が崩壊しつつある昨今年収が勝手に上がる見込みは薄く、まーこれ、人生詰んでますね。
お金持ってる政府の偉い人は考えた、お金が欲しいなら働けばいい!
…と、言うわけで、「労働者が副業・兼業を行う理由は、収入を増やしたい、1つの仕事だけでは生活できない、(以下略)」ということで、こうした労働者のために「長時間労働、企業への労務提供上の支障や業務上の秘密の漏えい等を招かないよう留意しつつ、雇用されない働き方も含め、その希望に応じて幅広く副業・兼業を行える環境を整備することが重要である」とのことです。(※朱書きは引用)
誰しも、1ヶ月に与えられた時間は720hです。そのうち、毎日以下の時間が欠かせないとして…
- 睡眠時間:7時間
- 移動時間:2時間
- 食事等(昼休憩1h+朝夕食1h):2時間
- お風呂等最低限の身支度:1時間
1日あたり働ける時間は最大12hでしょう。
(残業が多い日などは12時間超えて14~16hとか働いてた経験ありますが、睡眠時間や食事、身支度の時間などを当然のように削っていました。というか削らないと無理ゲーです。一日は24hしかありませんから。)
つまり、人間最低限の時間を除けば月当たり360h働けることになります。(ただし、土日休み一切なし、30日間毎日8hフルタイム稼働)
Time is Money!!レッツ時間の切り売りだ!!!
では、こんな仕事廃人な生活を送って得られる報酬はいくらでしょうか???
先程の記事では、本業で得られる手取り24万円は所定内実労働時間165h+残業11時間を合わせた176h/月で得られる報酬でした。
360h働ける働きマンは、残り184hを副業に当てられるわけですね。(ただし、副業への移動時間等全く考慮しない場合)
副業が本業よりも稼げることはほぼほぼ無い(副業のほうが稼げるなら、皆そちらに転職する、と仮定)とすると、単位時間あたりの報酬が最大で本業=副業として24万円✕(184h÷176h)≒25万円。
月あたり50万円近くの手取りを得られる計算になりますが、廃人まっしぐらです。山手線、止まりまくりですね。
もう少し現実的なラインを模索する??
現実的なラインは、手取り30万円が狙えるあたりでしょうか。それだと、176h✕(6万円÷24万円)=44h、つまり44時間副業すれば手取り30万円に乗ることが出来るのです!!!!!!!
44時間というと、1ヶ月(=4週)の土日毎日働いたとして1日あたり5時間半ほど、1日8時間働けば、6日で埋められます。つまり、1ヶ月の内土日6日間をフルタイムで働けばいいのです!(この時点で既にアウトですが…)
…ただし、これには落とし穴があり、本業を時給換算した場合と同等の報酬が得られる場合、ということを忘れてはなりません。サラリーマンの給与を時給換算すると、大半の場合はアルバイトよりも時間あたりの単価は高くなっている場合がほとんどだと思いますが、とは言え176h/24万円手取りでの時給は、240000円÷176h≒1364円程度です。とはいえ、時給1300円台はそこそこ高額で、関東地方のアルバイトでザッと見ても1100円程度?が多い気がします。
仮に、時給が1100円だとすると55時間ほど働かないと6万円得られない計算です。
極論ではなくもっと具体的にしてみる
一旦ここまでを整理すると、
- 手取り平均24万円として、30万円ほどの手取りは欲しい
- 6万円稼げる稼ぎ口が欲しい(=副業)
- ただし、多くの場合アルバイト的な副業もしくは本業ほどの収入が期待できない場合がほとんど
- 実質、55時間程度副業しないといけない
…つまり、土日フルタイム8h働いたとして、7日間働かないといけません。本業と合わせると1ヶ月30日の内8hフルタイムで働いたとしても月の休みがたった1日程度。これが平均の手取り30万円の世界かと思うとゾッとしますよね…???
政府の策によって無くなった残業代…
私自身経験があるところですが、勤め先が大企業だった(過去形)故に政府の策に踊らされ、残業0活動が本格化した時期がありました。
世の中に「生活残業」なる言葉があるように、残業代で稼ぐ!というのが当たり前に行われていた時代・世代があることは説明するまでも無いでしょう。この、生活残業が削られた結果が今の手取り平均24万円、ということですね。
この頃、入社数年目でしたが毎日忙しくしており、残業時間が40h/月を超えるのは当たり前でした。その頃は手取りが20万円台後半~多いときで30万円に到達することがあり、仕事は忙しいものの生活には余裕がありました。
…
……
………
あれ?????????
この頃手取り30万あったじゃん!!!!
そう、かの昔、残業40hは当たり前、60hでちょっと多いな、80h行くとちょっときついな、という時代には今のように「手取りがー」なんて考える必要無いくらいには収入があったのです。
しかも、単価の安い副業を長く働いて稼ぐ、または高単価な副業を必死こいて探す、といったことをせずとも、本業を時給換算(しかも一定時間を超えると割増などもあった)で残業代として得られるために短時間でたくさん稼ぐ、というスキームも成り立っていました。
結局のところ…
つまるところ、副業を進めて別の働き口を探したところで楽しさや趣味の先にあるのは(よほど運が良くない限り)低単価長時間労働しかなく、ある程度の収入を求めて働くためにはそれなりの犠牲(時間、労力、精神力)を伴います。
1社での長時間労働が問題にならないだけで人ひとりに対する労働時間をみると過労も過労、しかしあくまで自己責任、という最悪の状況です。
今本当に必要なのは、「働く側の制限をなくして無理をさせる働き方改革」ではなく、「働かせる側が報酬をはずめるようにするための働かせ方改革」ではないのか、と思うわけです。まぁ、そんなお金どこから出るんじゃい!という大問題があるためにどうしようも無いんでしょうけど。(そういう意味では、政府主導のベーシックインカム制度は個人的にアリだと思う派です。そんなの実現しようもないんでしょうけど!!)
- 本業よりも高単価で働ける口があるのなら、それを本業にすべき
- 本業で足りない収入を賄うために行う副業は、本業に対するパフォーマンスを落としている場合がほとんど
- 結局、一番稼ぐためにタイムパフォーマンスが良いのは、本業
私はどうなのか?って????
私は社会人になった時からいわゆる大手企業に就職しました。しかし、、
- 上が詰まって上がれない年功序列
- 30代を迎えた頃に全社的に始まった「若手の早期昇給制度」(自分よりちょっと下の層が対象となり、30代前半の層より20代半ばの層が優先して昇給するク●制度)
- メディア向けの外向きの革新的な新制度導入(理想)と、社内でのルールががんじがらめで適用できない新制度(現実)のギャップ
などなどなどなどなd…
いい出したらキリがないモヤモヤが原因で、転職しました。
大手企業では、繰り返される転勤(引っ越し)の度に都会に異動し、給与上がらないのに年々少なくなる家賃補助でどんどん生活苦に陥りながらも、大手企業故の不況に強い?という謎の安心感に包まれていました。毎日の仕事は良く言えば属人化されていない、悪く言えばぬるま湯状態な誰でも出来る作業を日々こなしながら毎朝夕決まった時間に打刻する、そんなラジオ体操のスタンプラリーのような状態でした。
残業が制限されて収入が減った後も「大手でこれなら他行ったらもっと悲惨なのでは…」という幻覚に囚われ、私自身転職のタイミングを逃してしまいました。(今思うと魅力的なお誘いや、募集年齢に制限のある中途採用を逃してきました…。)
そんな中私は、土日の時間を切り売りすべく副業に手を出します。
趣味のカメラ撮影を活かそうとブライダル撮影を始めたりもしましたが、コロナ禍を機に仕事は激減(ここ1年ほどゼロ)。そもそもカメラ等機材は持ち出しのため、メンテナンス費用や必要機材を購入するなどの追加の経費もかかり、体が資本の仕事のため土日で体を休めるどころか体力を奪われ、今思うと何してたんだろうなと思います。
逆に、転職後の会社ではこれまでのSEスキルを生かしてプロジェクトを乗り切り、収入としては転職前の大企業では考えられないスピードで昇給を繰り返しています。幸か不幸か、土日の副業もなくなった今、土日はじっくり休息を取ることで心に余裕を持って本業に臨めています。
そんな、私の実体験からも、時間を切り売りして金銭的な不足を補おうとする副業は絶対におすすめできない、と私はハッキリといいたいです。
本当の意味での副業は、平日5日間のうち2日をA社(副業、パートなど)、3日をB社(本業、正社員)といった働き方でしょうけど、果たしてそんな働き方で満足な給与が得られるかといえば、答えはNoでしょうね。
仕事で必要とされる専門性(=お金に変えることが出来る自身のスキル)が既に抜群に高いとかであれば別でしょうが、そういった方の働き方はそもそもが○○コンサルティングといったように短時間で高単価な仕事が出来るワケで、今回の様に少ない手取りの補填を副業で補おうとする層には全くもって当てはまりません。
働き方改革の目指すところは、就業の窓口を広げる、働く人工の裾野を広げる、というものがあるのでしょうが、そこに広がった働き口はほぼほぼ低単価・重労働・昇給等の望み薄、という三重苦な気がします。これまでどおりの日本式の年功序列・終身雇用が前提の働き方から脱却し、人材の流動性の確保・雇用形態の自由化といったところを目指すのであれば、単金の向上につながる制度の盛り込みが必要不可欠ではないかな…と思いました。
まー、それが一番むずかしいんでしょうけどねぇ。(遠い目)
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