SIMフリーのスマートフォン使いたい人へ、SIMフリー端末にまつわる落とし穴についてまとめてみた。

SIMフリーのスマートフォン使いたい人へ、SIMフリー端末にまつわる落とし穴についてまとめてみた。

先日シンガポール旅行に行ってきた折、SIMフリー端末&現地SIMを使ってデータ通信していたのですが、ふと身の回りでSIMフリー端末について勘違いしている人が多かったので、SIMフリー端末とはなんぞや?ということでまとめてみました。

 

私のスマホの使い方…

私はどちらかと言うとスマートフォンのヘビーユーザーではなくライトユーザーではないかなと自称しています。…というのも、「処理の重いゲーム…というか所謂スマホゲーは一切やらないから」というのを理由にそのように自己評価しているのですが、周りからはそうは思われていません…。おかしいなぁ。

とりあえず、

  • インターネットが快適にできれば良い
  • カメラはキレイに撮れる方がいい
  • 漫画アプリで読書したい
  • どこでも安定して繋がるのがいい
  • たまに海外遊びに行くときも手放さない

というのはマストなのですが、特に後半部分、「海外にも持っていって使いたい、尚かつちゃんと繋がることが大事」という点について再考しつつまとめてみます。

 

海外でも使える「SIMフリー端末」とは…?

当たり前の話ですが、海外旅行の際に現地でSIMカードを購入しても、手持ちのスマートフォンが対応していない(SIMロックされている)と現地のネットワークに繋がりません

最近よく耳にするキーワードとして「SIMフリー端末」というものがありますが、じゃあそもそもSIMフリーって一体何?という話をちゃんと理解している人はどれくらいいるのだろうか…。

 

日本の3大キャリアで販売されている端末はSIMロックされている

ここで言う3大キャリアとは、docomoauSoftBankの3社です。街角のショップに行って、よく見る看板のお店で契約できる端末が所謂キャリア端末というもの。

これらの端末はSIMロックされているのですが、主な理由としては…

  • 日本国内のサービス用に独自にチューンナップされた端末を使用している
  • キャリアごとの独自サービスに対応するように設定されているため他社での利用に支障がある場合がある
  • 単純に他キャリアへ端末を持ち込んで契約変更を出来ないように縛っている

…などなど、様々な理由があると言われています。(真相はきっと大人の都合まみれ…?!

 

最近SIMフリー端末を販売しているMVNOもある

UQモバイルや、Ymobileなど、所謂3大キャリアの回線設備を間借りして通信サービスを展開するMVNO事業者の中には、SIMフリー端末を販売しているところもあります。

このような販売時点でSIMフリーの端末、或いは、3大キャリアから購入した端末を各キャリア内でSIMロック解除手続きを行った端末は、契約時の回線契約に紐付かない端末として他社のSIMカードを使った回線契約を利用することができます

例えば、docomoで購入したiPhoneを、auやSoftBankに持ち込んで回線契約を行うことが出来る状態

 

SIMフリー端末最大の落とし穴、Band対応とは…?

ここまでで、「SIMロック解除されているSIMフリー端末があれば、日本国内の様々なキャリアや格安SIM、海外での利用も出来るんだろう?」と思われる方が多いと思います。しかしそこには大きな落とし穴があるのです…

 

各キャリアによって対応しているBand(通信に利用する無線の周波数帯)が異なっている

各社の使用しているBandをいろんなサイト巡って総まとめしてみた。

日本だと基本的にはBand1に対応していて、かつその他のBandについては各キャリアに合わせて考えないといけない。

格安SIMと言われている通信契約の中に、所謂docomo系au系と言われる2系統ある理由は、それぞれdocomoかauどちらのキャリアを間借りしたMVNO業者かという違いによって、対応する端末が変わってくるという違いがあるためだ。

 

例えば、auで購入したスマートフォン(Band1とBand18とBand26に対応したもの)をSIMロック解除してSIMフリー端末にし、docomoに持ち込んで使用しようとすると、docomoが提供している各種Bandの内、端末側がBand1にしか対応していないために「使えないことはないが、繋がりが悪い端末」となってしまう。

この例では、ユーザーは悪気なしに「docomoは繋がりが悪い!」と悪評を立ててしまうこともあるのだが、実際には「docomoで使えない端末を持ち込んだあなたが悪い…」という残念なお話である。。。

 

では、海外ではどうなっているのかというと…?

日本でこれだけの違いがある…となると、世界各国規模だとどうなっているのか。ざっくり調べられる範囲で調べてみた。

2018年7月4日現在、LTEのBand状況について調べてみた結果

 

地域別の使用Bandの違いは

まず、表の上から見てみよう。主要な各国(地域)別に使われているBandに○をつけている。

ヨーロッパやアメリカあたりは1〜8までが主に使われていて、中国やアジア圏は38〜41が主に使われている感じ。

 

上記の表で「○」になっているところが被っているから大丈夫!…なんてことは必ずしも無く、日本のキャリアが対応しているBandが異なっているのと同様に各国の各キャリア間で対応している周波数帯が異なるため、非常にややこしいです。

※一応、上表とは別に3Gの電波もあるので、最悪全く繋がりません!ってことにはならないかも知れないけれど…このご時世、インターネットが快適にできるLTE環境がないと…ねぇ?ということでLTEのみまとめています。

 

日本で売られているSIMフリー端末ってどうなの?

…ということで先程の表には、日本国内で販売中で、価格も安い割にスペックもそこそこで使いやすい人気のSIMフリー端末、P10 liteとP20 liteの2種類について一緒に記載してみました。

  • どちらも12、13、17に対応していないためアメリカが怪しい…?(一応2でカバーできるかも?)
  • あとは38〜41が歯抜けになっていて、中国やアジア圏で使おうとすると場所によっては繋がりにくくなるかも?

といったところでしょうか。

うーん…SIMフリースマホとして販売されている、しかも中国企業の端末でコレなので、日本企業が日本国内に向けて作ったスマートフォンなんて…ねぇ

 

と、言うわけでSONYのXperia XZ1を例に、各モデル別に調べてみたら…

  • グローバル版は、ヨーロッパやアメリカ、中国、アジア圏に広く対応できるようになっていそう…な感じ
  • 国内版がそれぞれキャリア別に対応Bandが異なってる…
  • au版とか対応してるBand少なすぎ…38〜41全滅で中国じゃほぼ使えない…

という結果に。

 

…これ、非常に残念な話で、各キャリアで値段ほぼ同じ(割引やキャンペーン施策で多少の違いはあるにせよ、元値はほぼ同じ)なのに対応Bandが違い過ぎているんです。

例えば、対応Bandが少ないau版の端末を購入してSIMロック解除手続きを行い、SIMフリー化されたその端末をもってdocomo系格安SIMを契約してしまった日にゃ…目も当てられない状況になります。(使えないことは無いと思うけど、所謂プラチナバンドと言われるBand19に対応していない、などで不便を被る可能性あり。)

 

↑キャリア版との比較が出来なかったので表には記載しなかったけど、新しく出たXperia XZ2もグローバル版はいい感じ。

SIMもデュアルで国内LTEはちゃんと繋がりそうだし、海外でもそのまま使えて普通に使い勝手良さそうだなぁ。。。

 

ではiPhoneシリーズはどうなのかと言うと…?

つよい(小並感)

国内で販売されているiPhoneは、6S以降のモデルについては世界的に見てもやりすぎ感さえ感じさせるほどに対応Bandを増やしています。特に最新のiPhone 8シリーズとiPhone Xに至っては「これでもか!!!」と対応バンドを増やしていて、逆に使えない国を探すほうが困難かもしれません。

 

なお、au版であればSIMフリーでないものを購入してしまっても、auとの契約無しにSIMロック解除の手続きが出来たはず。

制度変わってるかもしれないのでauショップに「中古で買ったiPhone、auの契約は無いのですがSIMロック解除してもらえますか?」って確認してからのほうが良いかも。うまく行けば、SIMロックかかったままだから〜と安く出品されてるものを手に入れることが出来るかも。

ちなみにこの間買ったMi MIX 2Sはというと…(余談)

国内3大キャリアが使っているマイナーなBandは外しているものの、国内3大キャリアの所謂プラチナバンドと呼ばれる主要Bandはしっかり抑えているので、国内使用もバッチリ!(技適さえあればね!!

iPhoneに並んで対応Band数は非常に多く、こちらもどこに渡航しても使えるのではないでしょうか。

 

 

では、キャリア版ではなくグローバル版を別途購入するのが正解なのか?

今回の一番の課題となるポイントです。

キャリア版を購入するということは、Xperia XZ1の例のように、キャリア独自仕様に縛られるということになります。

 

キャリア版を買っておいたほうが良いタイプの人

キャリアに縛られたキャリア版、しかし、縛られることで得られるメリットもあります。もし、以下に当てはまるようならキャリア版を買っておくのが良いかもしれません。

  • よく壊す(落下、水没など)
  • 一括で買うより分割にしたい
  • 海外で使う予定がまったくない
  • 操作方法等、ショップで気軽に問い合わせしたい

キャリア版(国内版)を購入すると、修理の窓口が各キャリアのショップになったり、キャリア主導の保険プランに入れたりします。そのため、よく落としたり濡らしたりする人にとって、修理持ち込みが簡単に出来るという点ではメリットだと思います。

また、昨今のスマートフォンは高性能化が進んだせいか端末価格が高騰しており、1台10万円近くするものがザラになってきました。そのため、特に学生さんなど一括で買うのはちょっと負担になる…という方であれば分割が組めるショップ端末の方がいいかもしれません。

 

ここで、「そもそもiPhone買う!」という人はキャリア版で良いと思います。

というのも、iPhoneはキャリア毎に違いがなく、SIMロック解除の手続きさえしてしまえばどれも同じだからです。海外に持っていく!となった場合も、iPhoneだとBandとか気にせずに持っていけるので安心ですね。

 

グローバル版を買ったほうが良いタイプの人

キャリアに縛られないグローバル版、縛りがないが故に、様々な面で選択肢の自由が生まれます。

  • 通販などで購入できる安い端末で十分だ(かつ、Band対応の調査など自身で行える)
  • いろんな端末を2年以内に買い替えながらいろいろ試して使いたい
  • 海外でも使える端末を選びたい
  • デュアルSIMで利便性を高めたい

Bandの対応さえしっかりしていれば、海外サイトや、海外から輸入されたものを販売している通販サイト(Amazonや楽天等)で購入した端末を使うことが出来ます。

要のBand対応については、「(端末名) Band」などと検索すれば対応Bandの一覧や、レビューサイトが出てくるので、そちらの情報を参考に使いたいキャリアのBandに対応しているかをチェックします。

使いたい端末が、普段使っている回線契約のBandに対応していれば、海外から安く仕入れてくることも、様々な端末を乗り換えながら使っていくことも可能でしょう。

ただし、故障時の対応については難点で、修理に出そうにも持ち込み先(送付先)が海外だったり、受け付けてもらうための手続きが煩雑だったりすることから、使い捨て覚悟で使う!くらいの気持ちが必要かもしれません。このへんさえクリアできれば、海外でも使える端末を探すなり、デュアルSIMに対応した端末に手を出すなり、選択の幅はどんどん広がります。

 

なお、先程表の中で紹介した、P10 liteやP20 liteを販売しているHuaweiは、国内にも修理のための受付窓口を用意しています。しかも持ち込み修理の際に交換用のパーツが揃っていれば、その場で必要な部品交換を施して返却してくれる、更にどこのキャリアまたは通販などで購入したかによらず修理受付をしてくれるという手厚いサポートがあります。

ですので、もしSIMフリー端末を購入する第一歩として悩んでいるのであれば、Huaweiの機種はオススメと言えるでしょう。

 

格安SIMを使いたくなくて、3大キャリアで使い続けたいけどかかる費用を抑えたい人

…コレに関しては契約の仕方などが少しややこしいので別エントリに分けようかと思います。

ざっくりと何を言っているかというと、月々サポートがつく契約で一括0円で契約出来る端末を探し出して契約し、実際に使う端末は別で用意したSIMフリー端末(またはずっと使い続けている端末など)を使うことにより、要は使いもしない新しい端末が手元に残ることになるのでそれを売却してしまえばその分黒字になる…というもの。

そのうち具体的な数字を挙げて説明するものを書きます(^_^;)

 

これから海外へ渡航する人へ

「海外でSIMカード買うの難しい!」

「設定が分からない!」

なーんて思っている方がかなり多いと思います。そういう方の殆どは空港で海外で使えるWifiルーターをレンタルする、或いはキャリアの海外パケットプランを利用する、などで大体1日あたり1000円〜3000円くらい?渡航期間によって5000円〜くらい?を消費しながら通信していることでしょう。

そんなあなたは、iPhoneを買うのです…( ˘ω˘)

 

iPhoneは最強のWifiルーター

上の表にある通り、iPhone 6S以降のモデルについては世界各国のBandに対応しており、SIMカードと設定さえ入っていれば世界中どこだって使うことが出来るのです。しかもiPhoneは世界中で流通しているため、表示言語が違っていてもなんとな〜く使えてしまう素晴らしい端末なのです。

 

最近では、到着した空港内にSIMカードを販売しているショップがある場合が多く、そのようなショップにiPhoneを見せて、

SIMカード!プリーズ!セッティング!プリーズ!

と連呼していれば「SIMカード欲しがってて、繋がるように設定してくれってことだな」と店員さんも察してくれます。iPhoneとSIMカード代を支払えば、現地でLTE掴むことが出来る格安Wifiルーターになる、というわけ。

そこまでいけば、後はテザリング設定をして他の端末(いつも使っているスマホやPC)を繋いでしまえばOK。滞在期間中データ通信ほぼ使い放題で大体1000円くらいです。コスパ最高。

 

SIMカードの種類にもよりますが、大体7日前後の期間で、数GB〜数十GBまで使えて1000円前後くらいのものがたくさんあります。不安であれば、日本国内にいる間にAmazonでSIMカードを購入することも出来ます。(その場合、日本語の設定マニュアルがついてくる場合が多いので安心だが、3000円前後と少し高い

 

iPhone自体はヤフーオークションやメルカリ、Amazonなどで新古品(契約しただけですぐに売りに出されているもの)で「SIMロック解除済み」「SIMフリー」といった表記のあるモノを探せば、2万円前後から新品が手に入ります。

「普段はAndroidを使っているからiPhoneはいらない〜」という方も、ものは考えようで「高機能な音楽プレイヤー」「月額数百円の格安SIMを入れればストリーミング再生も出来る」「ゲーム機」「海外に持っていったときにはWifiルーターにもなる」…と思えば安いものでは…?

 

SIMフリーという言葉に惑わされる人が減ってほしい

SIMフリーのスマホ買ったから、どこに契約乗り換えても、海外でもどこででも使えるね!

…と割と本気で言っている人を見る度なんとも言えない気持ちになります。

 

特に海外旅行を控えた方がこの感じで出かけて、使えなかった!と嘆いている場合が結構あります。海外には行かないにしろ、格安SIMでの運用も念頭に入れるのであれば、なおのことSIMフリー端末に対する正しい認識を持ってもらいたいなぁ、と思います。

 

ちなみに私は、周りの家族友人が海外に行くと言っていたら、iPhone持ってけーと勧めています。「現地空港到着したらSIMカード手に入れて、設定とかわかんなかったらお店の人か空港の人に渡してやってもらうんだよ!」というやり方で齢60を超える母がドイツから無事連絡してこれました

流石にどうなるかドキドキでしたが、案外すんなりいった模様。次からも同じやり方で出来るね!と言ってました。

 

やってみると意外と出来るコト、ちゃんと説明されると実は簡単なコト、予備知識があればうまくやれるコト、…なんだけど、知らないから損してる、そんなことっていっぱいありますねぇ。何かしら参考になれば幸いです。

 

 

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